National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) This page is a page of the former research institute. We stopped updating on March 31.2001.
E-mail to webmaster (Japanese) E-mail to webmaster (English)

四工研だより

平成8年12月号


−MITI情報−

☆ 新規産業の創出促進のための総合的対策      (通産省 平成9年度要求)

    新産業につながる技術開発支援の充実が技術面、資金面、人材面から提案されている。

技術面での具体的施策

○新規産業創造技術開発費補助金の拡充
  平成8年度創設の新規産業創造技術開発支援制度について、地域振興の観点から、地
 域が独自の視点で地域毎に有望な民間企業の行う技術開発の支援を強化。この際、地域
 でのエネルギ−使用合理化に資する技術開発についても一体的に支援。
○地域産学官共同研究開発制度の創設
  地域の国研・大学等の技術シ−ズを、地域産業の発展の基盤とすべく、地域にとって
 重要な技術開発について、地域の民間企業を含めたネットワ−ク化された研究開発グル
 −プからプロジェクトを募集し、産学官の強力な連携の下に効率的に研究開発を行う。
○アイディア段階の技術開発補助制度の創設(新技術育成枠)
  ベンチャ−企業・中小企業の技術開発への取組をより効果的に支援するため、アイデ
 ィアや自己が保有する技術の具体化を目指したアイディア段階の技術開発を対象とする
 補助金を創設。

資金面での具体的施策

○個人のベンチャー投資促進税制の創設(エンジェル税制)
  個人の投資家(エンジェル)が、特定中小企業(創業期ベンチャー企業)の株式を取
 得した場合の投資税額控除制度を創設。
○ベンチャーキャピタルによる創業期ベンチャーへの投資促進税制の創設
  ベンチャーキャピタル及び事業法人が、株式公開によるキャピタルゲインを一定期間
 内に特定中小企業に再投資した場合に、当該キャピタルゲインの課税を繰り延べる制度
 を創設。
○企業年金・証券投資信託の運用規制の緩和等
 ・企業年金など・証券投資信託の運用対象にベンチャ−株式が含まれるよう運用規制の
  を緩和
 ・証券会社による未登録・未上場株式の投資勧誘の禁止、公募取り扱い禁止を緩和
○ベンチャ−企業に関する情報提供の推進
 ・未登録・未上場株式の流通促進のため、企業情報提供の促進に係る各種規制緩和
 ・産業基盤整備基金が行う情報提供業務の充実
 ・ディスクロ−ジャ−マニュアル(投資家に対するベンチャ−企業の開示情報モデル)
  の促進
○店頭登録市場の流通性の向上の促進
 ・証券会社による店頭登録株式の売買手法の改善
 ・株式店頭公開価格の決定方式の改善

人材面での具体的施策

○ストックオプション制度の着実な実施
  ストックオプション制度の一般化を視野に入れて、平成7年より導入された新規事業
 法ストックオプション制度の着実な実施に努める。
  8年3月の規制緩和推進計画では「特定新規事業実施に関する新株有利発行制度の運
 用実態調査を行い(9年度)、ストックオプション制度の在り方等について検討に着手
 する」とされる。
  8年8月現在、ストックオプション認定事業者は8件。今後も着実に増加の見込み。
○労働市場の流動化を促進するための規制緩和の推進
 ・労働者派遣事業の対象業務の原則自由化
 ・有料職業紹介事業の対象職種の原則自由化
○ベンチャ−プラザの充実
  ベンチャ−企業と投資家等とのマッチングの場の提供等を目的とするベンチャ−プラ
 ザを充実。
  平成8年度より、販路開拓、人材の出会いの場の各通商産業局単位でベンチャープラ
 ザを開催。今後は、新たに都道府県等が行うものも支援。
○国研・大学等における研究者の兼業の自由化
  国研・大学等における知的資産の活用を促進するため、国研・大学の研究者の勤務時
 間以外の民間等での研究、指導等への従事に係る兼業規制の緩和を図る。
○産学連携の推進
 ・国立大学との連携による研究開発実施促進のための規制緩和
 ・国立大学から企業への技術移転促進のための規制緩和
    (本コーナについての詳しいお問い合わせは 四国通商産業局 技術振興課まで)
                                      TEL0878−31−3141

☆ 工業技術院研究所紹介 (各研究所発行ニュースより)  

計量研究所(1996.8 Vol.44 No.8)
 「計測の信頼性を定量化する「不確かさ」」
計量研究所(1996.9 Vol.44 No.9)
 「ライマンα/OH蛍光法による微量水分計測法」

機械技術研究所(1996 No.9)
 「ころがり案内・駆動機構の超精密運動制御」
 「火力発電システムのライフサイクルでの環境負荷の推定」
 「金属薄板の半凝固連続鋳造技術」
機械技術研究所(1996 No.10)
 「窒素ガスの流れと磁場勾配により生じる空気の対流現象の発生メカニズムの解明」
 「逆問題解法による光断層イメージング(光CT)」
 「筋収縮を模倣した新しいリニアモータ  −界面張力の利用−」

物質工学工業技術研究所(1996.9 No.21)
  「鉄鋼材料の耐久性の評価」
  「スフィンゴ脂質の合成研究」

大阪工業技術研究所 (VOL.40 9)
 「新しい金カルボニル触媒の発見 常温、常圧カルボニル化反応に成功」
 「熱効果による三次非線形光学特性の解明
   パラジウムコロイド溶液の縮退四光波混合実験と理論」
 
名古屋工業技術研究所(1996.10 No.535)
 「高次構造制御による高熱伝導性窒化ケイ素セラミックスの開発」
 「B4C−TiB2系−方向凝固体」
 「天然原料からの自律的調湿材料の開発」
 「未修飾シリカゲルカラムを用いる1価および2価陽イオンの同時定量
   −高性能な無機系分離吸着材の開発目指して−」

生命工学工業技術研究所(1996.9 Vol.4 No.5)
 「新しい遺伝子資源を求めて」
 「生体分子の分子量及び配列の解析 
   −新しい MALDI-TOF-MS 法による構造解析−」
 「糖質加水分解酵素の機能変換
   −遺伝子工学と有機化学を併用した酵素機能の設計−」
 「脳機能のダイナミカル計測
   −脳磁計(MEG)で脳内の情報の流れを見る−」
 「まぶしさ感の標準化に向けて
   −高齢社会におけるより快適な照明条件を求めて−」

電子技術総合研究所(1996.8  559号)
 「堅型安定性評価試験装置の開発に成功
   −回転場における超電導マグネットの安定性の解明に威力を発揮−」
 「高い電子・正孔移動度を有するアモルファスシリコンの作製」
 「表面分析の新解析法を開発 −非弾性X線光電子分光」

北海道工業技術研究所(1996.9  Vol.4 No.3)
 「人工ヒト化細胞で環境変異原物質を検出する。」
 「粉体プロセス効率化のためのハンドリング技術に関する研究」

九州工業技術研究所(1996.10 Vol.4 No.3)
  「ホウ酸メラミンからのBNの合成と成形物の作製」
 「超塑性を発現する過共晶性A1−Si系粉末冶金合金の創製」

東北工業技術研究所(1996.10 No.15)
 「高温・高圧工学の構築 −21世紀を拓く超臨界流体の世界−」
 「知的な材料の開発を目指した PbTiO3 系強誘電体薄膜の研究」

中国工業技術研究所(1996.10 No.86)
 「地震の前兆としての電磁気異常現象」


★ 四工研トピックス

海水からリチウム回収 −商業生産にメド−
                 (化学工業日報 1996年11月11日発行より抜粋)

 リチウム電池やセラミックス、合金、核融合など将来の大幅な需要拡大が見込まれる
リチウムを海水から工業的に回収しようという研究が成果を挙げている。海水からのリ
チウム回収の研究開発を積極的に行っているのは、通産省工業技術院四国工業技術研究
所。
 海水中にほぼ無尽蔵に含まれるリチウムを工業的な規模で回収するための研究を行っ
ている。これは、将来的にリチウムの需要が電池やセラミックス、核融合などの先端分
野で大きく増加することが見込まれるためで、供給の確保が課題になっている。このた
め、同研究所は海水からの効率的なリチウムの回収プロセスの開発を目指していた。同
研究所が海水からリチウムを回収するために用いたのは粒状の吸着剤で炭酸リチウムと
炭酸マンガンを混合し、400℃で加熱処理し、これを塩化ビニルのバインダ−で液中硬化
被覆法によって造粒、これを塩酸溶液に浸しリチウムを溶出したもの。
 ベンチプラントを使って吸着剤を2.5s充填、海水を毎分約15tで通水した。約7ヶ月
間吸着−脱着試験を行った。同研究所は、この回収プロセスを使って火力発電所の冷却
用の残渣温排水を有効利用するとともに、酸、アルカリ、炭酸ガスなどの処理原料に廃
棄物を使うことによって、リチウムの市場価格並みのコストでの生産を可能にした。


大電流イオンを効率発生  −世界初 真空内でレ−ザ−照射−
                    (四国新聞 1996年11月19日発行より抜粋)

 四国工業技術研究所は18日、任意の固体元素から高純度の大電流イオンビ−ムを簡単
に、効率よく発生させる方法を開発したと発表した。
 同研究所の表面工学研究室が5年度から取り組んでいたレ−ザ−を使った成膜に関する
研究成果の一環。同種のイオン源の開発は世界で例がないという。
 今回開発した方法によると、装置は真空チャンバ−内で任意の固定元素で構成する材料
に強力なパルスレ−ザ−ビ−ムを照射するだけ。この方法だと、簡単に効率よく大きなイ
オン電流が発生でき、多種類のイオンに対応できる。また、不純物が生まれにくいため高
純度のイオンを取り出せる。コスト面でも、装置は従来の3分の2程度の価格で、より大
きいイオン電流を得られる。
 応用分野としては、金属の表面に直接イオンを打ち込んでごく薄い膜を形成したり、ガ
ラスやプラスチックの表面の特性を変えて傷つきにくくするといった表面改質に高速化な
どの新展開が期待できる。具体的には、時計をはじめ精密機械の部品やカッタ−、ドリル
の刃などに実用化が考えられるという。

☆ 国立研究機関との共同研究をあっせんする基盤技術研究促進センタ−の紹介

1.民間企業、貴社と次の研究所との間で、共同研究が可能です。

通商産業省工業技術院・産業技術融合領域研究所、計量研究所、機械技術研究所、物質工
学工業技術研究所、大阪工業技術研究所、名古屋工業技術研究所、生命工学工業技術研究
所、地質調査所、電子技術総合研究所、資源環境技術総合研究所、北海道工業技術研究所
、九州工業技術研究所、四国工業技術研究所、東北工業技術研究所、中国工業技術研究所
、郵政省・通信総合研究所

2.こんな分野で共同研究が可能です。

 鉱業、工業、電気通信業に関連した 新素材、バイオテクノロジー、機械、エレクトロニ
クス、通信処理、ネットワーク、無線通信、画像・伝送等の分野。該当不明のテーマについ
てもご相談下さい。

3.基盤技術研究促進センターの共同研究あっせん制度を利用する場合のメリット

○民間企業にとって
 @ 国の共同研究の制度の内容、すなわち共同研究規程とその運用の実際(直近の改正
  事項、改正予定事項、全国立研究所の横並びなど)について、国立研究所の研究者に
  代わって、基盤技術研究促進センターから事前に詳細な説明を受けられる。
 A 国立研究所との知的所有権の帰属関係、研究項目の分担関係、研究費の分担関係、
  共同研究の期間、研究の実施場所、共同研究契約締結当事者の資格、参加研究員の資
  格、その他権利義務関係などについて、国立研究所の研究者に代わって基盤技術研究
  促進センターから、国の原則に則りつつ他国立研究所との横並びも検討した上での最適な
  契約条項の提示を受けることができる。
 B これらの国立研究所との事前調整の結果である共同研究申請書、共同研究契約書な
  どの書類について、基盤技術研究促進センターから、全てが盛り込まれ、かつ定められた
  様式の書式または書式用紙の提供を受けることができ、煩瑣な共同研究の契約手続き
  を容易・迅速・正確に行うことができる。
  C 共同研究開始後も、翌年度への共同研究継続にあたって事前に準備すべき事項等に
  ついて、適切な時期に基盤技術研究促進センターから自動的に連絡を受けることができ、
  契約更改手続きの時期を逸さず着実に行うことができる。
 D 全国立研究所の研究報告等に関する情報(季刊「JKTC研究支援情報」など)の
  無料提供を受けることができる。
       (本コーナについての詳しいお問い合わせは 基盤技術研究促進センター
        研究業務部共同研究課  TEL.03-3505-6826   FAX.03-3505-6831
          URLは http://www.jktc.go.jp/まで)
 

昨年は科学技術基本法に則り基本計画が作られ、科学技術の研究に従事している者にとって大きな
変革の年であったと思います。 明治時代から西洋科学技術を導入、活用してきた環境から、独自の
独創発想と能力で国際社会に貢献して行こうとする新しい環境へと移行する努力が始まったと思いま
す。 良く分かりませんが、どちらかというと今までが特異な科学技術開発の環境であってこれから、先
進国としては普通の環境なのかも知れません。 一部にはその様な環境は既にわが国にはあったので
しょうが、我々はその普通の環境を経験する機会に会わなかったので、暫くは戸惑うのではないかと思
います。
  今までの環境では研究が行き詰まってきた科学技術の世界に新しい光を灯して道を開いて行くので
すから、研究開発に関連している人は発想の転換とか独創的で挑戦的な研究ができるように研究体制を
変えて行かなければならないと思います。 また研究体制は社会に開かれ、社会から信頼されなければな
らないと思います。
  わが国は少子化が進み急速に高齢化社会に向かっています。またアジアの急激な産業の発展により
国内産業の空洞化が進んでおります。それと共にアジア諸国の工業発展とそれを支える科学技術関連
人材も増加していますが、それに対してわが国の若年層の科学離れが進んでおります。欧米でも少子化
と高 齢化は大きな社会問題になりつつあります。

 21世紀を迎え、先に述べたような環境の中で経済社会の持続的な繁栄を続けていくためには、年齢に
関わりなく人が楽しく遊び働ける環境即ち、人間・生活社会に基本的な満足を与える先進的・独創的技術
の開発が必要であります。その様な技術が地球環境を守り、エネルギー・資源の確保を進め、社会と人と
自然とを調和させて豊かに暮らせる産業を構築していくことになると考えられます。

 21世紀は情報の時代といわれています。人間の体は数百億個の細胞からできているといわれています
が、その細胞が体内にある情報認識機能と伝達機能によって、我々が意識しなくても生活するに困らない
ように調和よく活動しています。活動することによって色々経験し、豊富な知識を蓄積して行きます。人の
体力は年を経るにつれピークを経て衰えていきますが、インテリジェンスは残っていきます。情報の時代、
コンピュータの性能は益々良くなると思いますし、人間の住む環境を十分に認識して人間のような理解を
する能力を持ってくるのだろうと思えます。高度の認識機能を持たせれば、蓄積された人間のインテリジェ
ンスを旨く使ってコンピュータと人が協調して新しい仕事をする事もできるかも知れません。バーチャル リ
アリティで熟練者がするように、土を認識して高度の農業や福祉における介護が年齢に関係なく素人で も
できるようになるかも知れません。これは一例ですが、認識機能の研究は人に地球に優しい技術開発 の中
で重要な産業分野を担って行くと思います。
 四国工業技術研究所は従来、海洋を多様な生物・無機資源の宝庫で人類に残されたフロンティアとし て
「海洋資源開発」を研究の柱に掲げて、海水溶存資源の採集・利用研究、バイオテクノロジーによる海 洋生
物資源の利用、水中加工技術の高度化などの基盤技術に関する研究を進めてきました。社会から 期待され
る時代時代の要請に応えてきたと思います。従来の研究はどちらかと言えば採集とか資源という マクロに物を
対象とした研究でしたが、研究の進展と成果の蓄積により技術開発の方向性が明らかになっ てきました。今後
重要なことは、現象をよりミクロ的な視点で考え、より普遍的な原理を探って技術化して行こう という試みです。
海洋の中すなわち「海洋水圏」に存在する生物認識機能、物質認識機能に焦点を当て、 これらの機能を解析
し、生物分子学的にまた材料工学的に設計・創造する研究を行うものです。四国工 業技術研究所は上記の研
究分野を「海洋水圏に存在する機能の分子デザイン」の研究として重点研究 領域としました。これらの研究を進
めることによつて高齢者を含む人に優しい生産用機械や福祉に必要な センシング機能素子等の開発や、エネ
ルギー資源の確保、海洋水圏環境の保全など広い意味での情報 と組み合わせた新しい産業の創出や環境問
題に役立つ技術開発が進んでいきます。
 技術が役に立つためにはそれが使われなければなりません。今期待されている技術は高付加価値が 生み出
せる技術です。ハイテク時代には、多分その技術だけでは製品技術としては使い難く、他の技術 との組合せ或
いは融合することによってのみ新しい技術ができていくのだと思います。技術は無味乾燥な 物ではなく、文化で
あり、技術文化の結び付きが新しい人や地球に優しさを持つ文明の利器を作って行く のであろうと思います。四
国には今年香川大学の工学部の創設が認められ、また、高知工科大学が創設 されます。STZ絡みで産官学が
連携した広域研究体制も活動し始めます。技術文化の広がりが見えます 。研究も技術開発もそうですが、国境を
越えて大競争時代が始まっています。地域の在り方が地域にあっ て国際的であり、国際的視野で地域を考える時
代になってきましたが、それに適応できる体制にならなく てはなりません。種々の技術文化と遭遇してお互いに平
等互恵の精神を持って競争と協調をして行く必 要があります。四国工業技術研究所は今年も活発な研究活動を
繰り広げ成果を出し、国際的視野を持 つ地域のリーダーとしてコーディネーターとして産官学連携のもとに開か
れた研究所として活躍をしたいと 思っています。
 皆様方の更なるご支援とご協力をお願い申しあげ、新年のご挨拶とさせていただきます。